Hola!メキシコ在住フリーランスのワカです。3月に入ってから、この国でもワクチン接種が始まりました。他国と同じように、医療従事者、教育関係者、高齢者が優先です。(高齢者は、名前の最初のアルファベットによって、接種する日が決められています。)
そんな中ニュースでは、観光地カンクンのいつもと変わらない派手なパーティーの光景が流れていました。メキシコでは入国規制や隔離措置が取られていないので、観光客の姿も多く見られます。
4段階ある危険信号の3番目まで下がっていたカンクンですが、先週からまた2番目のオレンジに逆戻り。敏感になり過ぎるのも良くないですが、マスクをせずに踊りながら抱き合っている人々を見ると、「あれ?去年の映像かな?」なんて思いたくなってしまいます。
そんな今回は、メキシコのちょっと変わった薬局事情をご紹介。どうぞ最後までお付き合いください。(これまでの記事はコチラ)
困ったときは、まず薬局
メキシコには政府が運営しているIMSSという病院と私立病院がありますが、どちらも気軽ではありません。
前者は無料だけれどとにかく待たされる、質に問題がある。後者は質に問題は無いけれど予約が必要でめちゃくちゃ高い。ざっくり言うとそんな感じ。私のようにスペイン語に自信がなくて、きちんとした保険にも入っていない人は、どちらの病院にも掛かりたくないのが正直なところ。
そんなときにおすすめなのが、街中にコンビニのように沢山立ち並ぶ薬局の存在!なんとここメキシコでは、薬局に簡易診療所が併設されていて、医師の診察や注射を受けることが可能なのです。

予約不要。診療時間が長い。
実は私、メキシコに来たばかりの2020年1月、ひどい風邪に見舞われました。喉がちぎれるほど痛く、むせかえるようなひどい咳が止まらない。ちょうどニュースで中国のコロナの映像が流れ出した頃なので、外で咳をすると(私はアジア人なので、特に)周りの視線が突き刺さる……。
そんなときにメキシコ人に付き添ってもらって訪れたのが、家から徒歩5分の薬局。併設された診療所には時間ごとに3名の医師が交代で勤務し、症状の説明や必要な薬を教えてくれます。
私の喉は細菌にやられていて、患部が真っ白である意味重症。「よくここまで我慢したわねぇ」とメキシコ人女性医師にため息をつかれるほどの状態でした。そして言い渡されたのは、
「これから1週間毎日来てください。お尻に注射をします。」
えーーーーー!!!!!!!
付き添いのメキシコ人が「うわぁ、それ痛いやつだ、、、」と同情の視線を送る中、人生初の喉の痛みでお尻に注射inメキシコがスタートしました。
まぁ結果的にどうだったかというと、想像よりは痛くなかったし、左右どちらのお尻に注射してほしいか毎回聞いてくれるので良かったです。
そして、治りました。これが一番大事。
注射を打つ前は2週間くらいこの症状に苦しんでいましたが(そして自分で治すしかないと思い込んでいた……)、診療所に通い始めて3日後には回復を実感できるほどになったのです。控えめに言って、医療に感動した瞬間でした。
それでもぶっ倒れた私。
診療所に通い始めて2日目。喉が痛くて熱もあって、料理をする気も起きずにコーンフレークだけ食べていたら、家の中で気を失いました。
リビングで急に「あれ?吐きそうかも。トイレ行こう」と思った瞬間に力が抜けて、次に気付いた時には固いコンクリートの床に顔がくっついていました。
そばのテーブルでぶつけたらしく、腕や足にも大きめの擦り傷。気を失った経験がないので「こりゃあ、もう駄目かもな」なんて大袈裟に思いながら、這うようにして移動し、横になって朝を迎えました。(日本の友人には、「救急車呼ぶとか知り合いに電話するとか思い付かないわけ?もう駄目かもなって……あきらめんなよ!」と後で言われました。でも救急車の番号も知らないし、そもそもそれだって高額です。)
翌日、診療所の先生に事情を説明すると、「あなた、何食べてるの?え、コーンフレークだけ??絶対治らないわよ!今あなたに必要なのは、人参、玉ねぎ、鶏肉、、、etc.」食事の指導までしてくれました。
そしてその日の夕方にその食材全部を入れたスープを食べたら、信じられないほど回復したんです。食事って、大事なんだなぁと身に沁みました。

診察料や、その他の諸々
立地によって多少値段は異なりますが、総じて安いです。注射器や薬も自分で(医師の指示が書いてある処方箋のようなものを提示して)併設の薬局で買うのですが、注射を打つだけなら毎回約300円ほどでした。(初回の診察時も2000円以下だった記憶があります。)
先生はスペイン語しか話せませんでしたが、お互いに携帯の翻訳機能を使ってやりとり。(当時私は、スペイン語は挨拶しか知りませんでした。)「日本人は大体私立の病院に行くのに、あなた珍しいわねぇ」なんて言われながら通い、1週間後には「ここまでお互い、よく頑張った!」と握手をして別れることができました。
ちなみに、診療時間や診察料は、待合室(…というほどではないですが、ベンチがいくつか並んでいる場所)に張ってあることが多いです。
つい先日、スペイン語の先生にその話をしたら、「私も体調が悪いときはまず薬局に行くよ。普通の病院は一日がかりだから、気軽には行けないわね。」と言っていました。
明らかに症状が重い、きちんとした検査が必要、気になる持病がある。そんな方以外にはお勧めです。もちろん、保険もいりません。旅行で来て急に具合が悪くなったときも、気軽に行けるので良いかもしれません。
いかがでしたでしょうか?おそらく世界でも珍しい薬局での医師の診察。できればもう病気はしたくないけれど、今思えばメキシコならではの経験が出来て良かったなぁ、なんて思う今日この頃です。
ではまた次回お会いしましょう。アディオース!
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北原 和司子 (きたはら わかこ)
(株)JALカーゴサービス、(株)リクルートジョブズを経てウイッグ事業で起業。その後メーカーでの新卒採用業務やスナックでの接客、住宅情報誌&ネットのADなど幅広い業界を経験し、フリーランス営業へ。現在は海外移住を目指しメキシコシティにて奮闘中。
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