⑥海外で暮らすということ。 ~私はなぜ早々にアメリカ移住を諦めたのか?~

こんにちは。メキシコ在住フリーランスのワカです。

連載第6回。前回はVISAやアメリカ移住に関する現実的なアレコレを記事にしましたが、今回はそれをもとに私が出した答えについて。(これまでの記事はコチラから。)

強引にアメリカへ住む道はあったのに、なぜそれをしなかったのか?「海外で暮らしたい」と漠然と思っている方の参考になれば嬉しいです。

「観光」と「生活」の違い。

「海外で暮らしたい」と思ったら、まず始めに考えるべきこと。それは、”生活するのは旅行とは全然違う”ということ。

多くの場合、どこかの国に訪れる最初のきっかけは旅行だと思います。私もそうでした。アメリカでは西海岸を中心に、観光地を回ったり現地の友人と食事したり、時には車を借りて日本では見ることのできない景色を見に行ったり。

とにかく、すごく楽しい。言葉が通じずもどかしい思いをすることも、トラブルが起きてハラハラすることも、なんだって良い思い出になることがわかっているから、楽しい。

でも、ですね。

生活するって、そういうことじゃない。もちろん、出掛けることはできるだろうけれど、それは仕事があってのこと。平日は基本的に朝から夕方まで働くわけです。つまり、生活自体は日本と変わらない。ただ場所が違うだけ。

海外にいるって、それだけで(その生活に憧れている人にとっては)キラキラして見えるものだけど、現実は少し違います。むしろ、友人ができるまでは、平日の夜も週末も一人で寂しい思いをする可能性が高い。

海外に行ってすぐの人の場合、どんなに現地の言葉が話せたとしても、日本語で話すほうが当然ラクだし、自分の感情を正確に言葉にできる。でもそれを聞いてくれる相手は、隣にはいないわけです。(オンラインでは勿論可能ですが、当然時差があってこれまで通りにはいかない。)

それでも海外で生活、してみたいですか?

アメリカで仕事をするということ。

前回の記事でも書きましたが、VISAの取得はかなり難しい。特に、これまで日本で働いていて、心機一転アメリカで生活しよう!と思った私のような人にとっては。

ベースとして、ビジネスレベルの英語力が当然必要。それに加えて、他のアメリカ人や優秀な日本人と就転職市場で戦わなくてはいけない。スキルなり経験なり、「この人が絶対に欲しい!」と企業に思ってもらえなければ、就労VISAの取得には至らないのです。

アメリカには日系企業はたくさんありますが、それ以上に既に渡米して学校に通ったりインターンをしている日本人もいます。そこで勝ち抜くための”何か”が必要なわけです。

そして残念ながら、私にはその”何か”がありませんでした。

いま日本にいて、今後渡米して働くことを考えている方は、是非エージェントに相談してみてほしいと思います。自分の希望する仕事に就ける人は本当に一握りなのが実感できるはず。

仕事はLAやNYなどに多く集まっていますが、理想の生活を送るには給与が程遠かったりもします。生活コストを考えるとなかなか「週末は旅行に出掛けて……」なんて余裕はありません。

アメリカ人でも就職が難しい大都市。仮に私が仕事を見つけられたとしても、その生活は”毎日生きるのに精一杯”になることが、火を見るよりも明らかでした。

私の一番の目的は何なのか?

私がアメリカを好きなのは事実。でもそれは本当に「今、アメリカで働きながら暮らす」ことが必要不可欠なのか?現実を見てそう考えるようになりました。

そもそも、観光で滞在できるのは90日までなので、私のように渡米してから仕事が見つかるのは奇跡的な確率。そうすると、今の私がアメリカで暮らすには、一旦学生になるしかない。

でも、学費も生活費も高いアメリカ。そんなところで、たった一人で”とりあえず学生として生活してみる”というのは、果たして賢明な判断だろうか?誰もが憧れるような都市で暮らすのは、東京で暮らす以上の生活費が必要です。

加えて「食べ物も交際費も節約。住むのはもちろんルームシェア。毎日バイト!」といった生活をできるのか?長いこと自由に生活していた私にとって、想像するだけでも気持ちが滅入るのがわかりました。

それではっきりしたのが、私にとってはそれこそが重要なポイントだということ。ある程度自由に生活をして、一人で住んで、学生ではなく仕事がしたいということ。

そんなことを考えていると「そもそも、旅行でアメリカに行くだけじゃダメなんだっけ?」と思うようになりました。私はアメリカが大好きだけれど、歯を食いしばってお金に苦労して何年も耐え抜くほどの志は、正直ない。

だったら、他の国でいいんじゃないか?そもそも、他の国のほうが合っているんじゃないか?

そんな答えに行き着きました。好きだけじゃ暮らせない。自分の市場価値に目を背けてはいけない。漠然と海外に憧れがある人は、その辺りも是非頭に入れてほしいと思います。それでも「挑戦したい!」という方は、事前にきちんと情報収集しましょう。私のように勢いだけでは、厳しい現状に飲み込まれてしまいますよ。

次回は、そんな私が行き着いたメキシコについて書こうと思います。お楽しみに!

(かっしー感想)

「成功例に再現性を見つけるのは難しいが、失敗例に再現性が溢れている」という教えがありますが、誰しも自分の挑戦を「失敗だった」と認めること自体が非常に難しかったりします。ただし、商売の基本が「勝ちやすきに、勝つ」のように挑戦のプロセスでだめだったことを認めて、諦めて、次の自分が良いと思う環境で生活をする事が大事になってきます。

実現したいことが、やりたいことが、目的と手段をごっちゃにして考えていないか?ということは非常に大事です。適切に諦める、仕切り直す、そういう視点が大事なんだなと改めて思います。

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